言葉遣いの重要性について。
先日、ネットで「上司にお前呼びされるのが許せない」という書き込みがされて話題になっていた。
いくら上司だからって何様なのか、と。
それに対して多くの賛同する声が寄せられていた。
「分かります!!」「私もお前呼びされます!!気持ちのいいもんじゃないですよね」
等々。
そういえば私、旦那に「お前」って呼ばれたことないなと気づくと同時に、そういうところがすごく好きなんだと気づく。
例えばくだらないケンカをした時でも、必ず私のことを「なっちゃん」と呼ぶ。
「なっちゃんが悪いんでしょ!!」
「なっちゃんがくだらないこと言うからじゃん!!!」
「なっちゃんいい加減にしてよ!」
ここでさらに重要なことに気付く。
旦那が標準語であることも、もしかしてものすごく重大なのではないだろうか。
これがもしも関西弁だと、こうなる。
「お前が悪いんやろ!!」
「お前がしょーもないこと言うからやろ!!」
「お前えぇ加減にせーよ!!!」
途端にイライラしてくる。
なんだこれ。
関西弁は人を煽るために存在している言語なんじゃなかろうか。
ちなみに私が生まれ育った地元の播州弁だとさらにこうなる。
「お前が悪いんやろが!!!」
「お前がしょーもないこと言うからやろがいや!!!」
「お前エー加減にしとかんかいや!!!」
がいやってなんだよ。
ぶん殴りたくなるな・・・。
言葉遣いってもしかして関係性を持続するためにものすごく重大なんじゃないか。
いやもちろんそんなことは前からある程度分かっていたしその証拠として私は旦那のことを「あんた」やましてや「お前」なんて口が裂けても呼ぶことはないのだけど、
ちょっと想像してみた。
例えば、旦那はおなかがすいた時にこう言う。
「なっちゃん、おなかすいた。」
イントネーションとしては「おなかすいた」は「→」こうだ。
これが関西弁なら、「おなか↓すい↑た↓」となる。抑揚がある。
途端に可愛げがゼロになる。
標準語にはどこかあどけなさというか、幼児性が感じられて、ふだんオッサンくさい関西弁の海にどっぷり浸かって生活している私にはすごくキュートに感じられる。
まるで小さい男の子が「おなかすいた」とうるうる上目づかいで服の裾をきゅっとつかんできたかのような可愛さだ。
「はいはい今ご飯作るからね。何が食べたい?カレー?ハンバーグ?」とついニコニコ答えてしまう。
標準語の潜在パワーはすごい。
いやちょっとセコすぎるんじゃないか。
関西に住んでいる男が標準語の女子に出会ったらもうゾッコンになってしまうんじゃないか。
じゃあ逆ならどうなんだと。
標準語に慣れている旦那には関西弁はどう聞こえるのかということだが。
関西に住んでいる多くの関西人が勘違いしている大きな誤解として、「関東人は関西弁に憧れている」というものがある。
ハッキリ言っておこう。
関西弁は関東では圧倒的にうっとうしがられる。
実際に大阪在住3年半目のうちの旦那は関西弁の女が大嫌いで、関西に住めば住むほど関西弁がどんどん嫌いになっていき、その弊害として最終的には関西人のことも嫌いになってしまった。
私が旦那と知り合って1年ぐらいした頃、「最近本当に関西弁がうっとうしくなってきたの。なっちゃん、俺といるときは標準語で話してほしいの。」と言ってきた。
マジかよと思ったが特に関西弁にこだわりのない私は即答で「いいよ」と快諾し、ある日を境に寝言まで標準語で話すようになってしまった。
旦那のために標準語に改宗した私は現在、関西弁と播州弁と標準語が混じってなまりがすごいことになっている。
初対面の大阪人には必ず「え、外人さん?」と聞かれるほどだ。
ひでー旦那だな!!ふるさとの言葉を捨てろだなんて!!と思う人もいるかもしれない。
だけど言葉というのは、関係を円滑に保つためにはかなり大きなウエイトを占めると私は思っているので、旦那がそう望むのならいいのだ。
言葉というか、ものの言い方かな。
実際、以前大阪生まれ大阪育ちの下品な大阪弁を話す人と付き合っていた時はケンカが絶えなかったし、私自身もどんどん言葉使いが汚くなっていってしまった。
言葉というのは時に人を殺す凶器にもなるものだ。
なので、言葉遣いについてみんなもっと真摯に向き合った方がいいと私は思う。
ちなみに旦那の見た目はどう見てもカタギではなく、夜に家から徒歩10歩のコンビニに行くだけで職質を受けるようなPTA受けの悪い見た目だ。
10分ではない。10歩だ。
「ちょっと袖まくってひじ見せてくれる?」とまで言われてしまうほど、いかにも”打ってそう”な見た目である。当然打っていないのでご安心を。
そんな見た目から繰り出される語気の柔らかい標準語というギャップがまた余計に可愛く感じるのかもしれない。
とにかく、ものの言い方ひとつで抱きしめたくなったりぶん殴りたくなるものなのだから、言葉使いというのはとても大事だよねってお話でした。